補助金削減、「物理学にとって悲しい日」(THES 2007年12月14日号)

'Sad day for physics' as funding is decimated

物理学、天文学および宇宙科学に対する資金配分機関であるイギリス科学技術設備カウンシル(STFC、*1)は今週、補助金の削減を承認した。2011年までに13.6%増やすと見られていた予算のうち8000万ポンド分が不足することに伴い、いくつかのプロジェクトは中止を余儀なくされると見られている。更に現在進行中のプロジェクトに対する補助金の見直しも取り上げ、インフラ整備コストの削減、雇用調整のしやすい労働力の導入、開発助成金の削減をSTFCは表明している。

しかし大学側は、予算の削減は深刻な研究者不足を招き、プロジェクトにおけるイギリスのリーダー的立場を危うくし、入学者リクルートにも悪影響を及ぼし、化学・生物学および機械工学にとって致命的と主張する。

多くの物理学者が、補助金の不足はSTFCが想定している以上の悪影響をもたらす、またSTFCは政府から予想損失を少なく見積もるよう圧力をかけられているのではないかと主張している。「既に若手研究者はキャリアに関する不安を持っており、突然の方針変更は海外パートナー間の評判にも悪影響を及ぼす。」「本来STFCが援助していくべき量子物理学や天文学等々へのダメージを軽視している」など反発は根強く、リバプール大学のジョン・ダイントン物理学教授はSTFCの補助金削減に反対するための呼びかけを行っている。

イラン・ペアーソン科学大臣は「補助金配分は見直される予定であったが、それは特に追加融資を約束するものではなかった」と発言している。「政府が行うと言う物理学の見直しがこの最悪な状況を改善することを祈るしかない」と、反対派のオックスフォード大学ブライアン・フォスター物理学教授はコメントした。

*1 STFC:科学技術の革新を目的に大学・研究機関に融資を行う、イギリス職業技能省の下部公共組織。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)