Right to speak is threatened
研究者が職務上の権利を放棄して、既存の学説・潮流に挑戦することを恐れている状況が、今週行われたアイディア・フェスティバル(※)において議論された。
ケント・ロースクールのジョン・フィッツパトリック講師は、「内部からの脅し」の存在を指摘し、「政治的に正しい」とされているイシューに批判を加えることがとても勇気のいることとなってしまっている、と述べた。ケント大学の社会学のフランク・フレディ教授は、自分の意見を言えるようになるのを退職するまで待っている同僚もおり、私たちは、ナチの支配下にあるかのようだと述べた。
イースト・アングリア大学の学部生リチャード・レイノルズ氏は、議論を巻き起こすような意見を封じ込めがちな状況が学生の無関心の一因ではないかとし、去勢された学問はつまらない、と述べた。コロンビア大学の政治学の研究者アレックス・グーレヴィッチ氏は、コロンビア大学が最近イランの大統領を招き、講演を依頼したことに対して批判が出たことを例に挙げながら、学生を「悪影響を及ぼしうる情報から守られなければいけない存在」だとする現在の風潮も、学問の自由の衰退だと指摘した。ワーウィック大学の社会学のスティーヴ・フュラー教授は、学問の役割の一つは、議論の重要性、議論を組み立てることを学生に教えることであり、科目の専門性は本質的なものではない、と述べた。
また、フュラー氏は、学問の自由は組合の権利であり、議論をする能力は、組織的な保護が必要とされると述べ、職が奪われるかもしれないという恐怖が教員の自由な発言を控えさせている状況を批判した。フュラー氏は、ノーベル賞受賞者のジェームズ・ワトソン氏が、最近、人種と知能のつながりを指摘したことにより、大学から解雇された件を例に挙げ、このような事態についての議論を促した。
※アイディア・フェスティバルとは、毎年開催される、学問に関する議論を活性化するための行事。
(要訳:OFIASインターン 藁科 智恵)
脅かされる言論の自由(THES 2007年11月2日号)