研究は利益を出すべし(THES 2007年10月12日号)

Research must show payoff

ピアレビューによる研究申請の評価方法を改定し、基礎研究でなく、経済的効果を生む可能性のある研究に助成を出すとする案に、複数の研究委員会が賛同した。この改革は来年以降段階的に導入される予定である。

「経済効果」の定義は広く、特許や子会社から得られる商業的利益のみならず政策や日常生活への影響も含まれる。芸術・人文科学研究会議(AHRC)のトップはこの改革について、一部の研究者にとって困難を伴うものであると認めたものの、「研究成果に加えてプロジェクトの経済効果をも示すことができれば、研究者にとってチャンスとなる」とし、経済効果をより真剣に考えるべきだとの見解を示した。

各研究委員会の間で統一を取るため、ピアレビューの新しいガイダンスや改定版の電子申請フォームが導入される予定であるという。ピアレビュー審議会に参加する一般消費者の割合も増やすとされている。

しかし、王立協会Royal Societyと英国物理学会Institute of Physicsは、申請段階で研究結果を予測することに懸念を示している。王立協会の担当者は不測の事態の存在を述べた。英国物理学会の担当者は当初の予定通りの利益を上げられなかった多くのプロジェクトの例をあげた上、本当に画期的なプロジェクトを重要性の低いプロジェクトが押しのけてしまう危険性を指摘した。

(要訳:OFIASインターン 長谷川 涼子)