Tough new hurdle for top researchers
イングランド高等教育財政カウンシルHefce(*1)は新しい研究評価フレームワークにおいては、論文の引用回数を査定材料とすることを発表した。これは「一般的に、頻繁に引用される研究者の研究結果ほど理論面で影響力を持つ」という判断に基づくものである。
この新基準は「臨床医学」「医療制度」「保健関連分野」「生物学」「物理学・工学」「コンピュータ・サイエンス」の6分野において適用され、世界的なレベルで優秀であると認められるためには平均の3倍以上研究論文を他の研究者によって引用されなければならなくなる。この新基準によって、2010年より、約14億ポンドにのぼる研究資金の配分先が決定される。
しかし研究者の間では、研究者たちが取引して互いの論文を引用する「引用クラブ」の形成を懸念する声が上がっている。カウンシル側もこの新制度が研究者の行動に及ぼす影響の可能性への懸念を認めており、疑わしい引用行為を監視するシステムの導入も考慮しているという。
カウンシルは制度を監督する専門家による委員会の役割についても検討中で、現在は試験的に新制度を導入する大学を募集している。
なお人文分野に関しては、今まで通りピア・レビューにより評価が行われる。
新システムの要点
・2008RAE(*2)実施後2010年から2014年にかけて段階的に導入
・自然科学に関しては、研究者の論文が他の研究者から引用された回数で研
究の質を査定
・各大学機関は評価対象に含めたい教員を選択
・結果操作目的の「疑いのある」引用行為を監視
・人文においては2013年に設定されるピア・レビューで研究の質を査定
・人文に関しては、カウンシルが文献計量学的指標の主要使用について引き
続き検討
*1: Hefce…イングランド高等教育財政カウンシルHigher Education
Funding for Englandの略称。教育研究資金の配分を行うイギリスの機関。
*2: RAE2008…イギリスにおける大学評価システム。
(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)