不祥事調査の為の新組織、発足に向かう(THE 2008年7月31日号)



大学の不祥事調査及び事例の収集の権限を持つ組織の設立が、英国研究委員会(RCUK)からの諮問文書中で提唱された。この新しい組織の目的は、主に教育現場全般の規律を守り、不祥事対処を促進することである。その他、学内からの不満の調査、及び不祥事の事例とそれに対する懲罰資料のデータベース管理、情報提供を行う。


学術出版における倫理委員会(Cope)のハーヴィー・マルコビッチ氏は、こうした組織の設立に賛成している。現在は、事例の包括的な管理体制が未だ存在せず、個々の機関が自身に不利な事例をこっそり隠蔽することも可能である。類似の組織としては英国保健・生体医科学研究公正委員会が存在するが、調査権限は与えられていない。


英国研究公正局(UKRIO)局長のアンディ・ステインソープ氏も外部から調査されるべき問題の存在を認め、組織の設立を歓迎している。一方でUKRIOは匿名の事例データベースを独自に作成することを計画している。


RCUKの諮問文書は、イギリスの各教育機関は、軽微な問題をきちんと調査しておらず、このことは、問題を手に負えなくなるまで放っておく傾向を助長している、と批判している。



(要約:OFIASインターン 早野文菜)

海外動向(THE 2008年7月24日号)

Overseas briefing

日本:少子化による打撃
少子化など人口構成の変化と公的資金の減少により、大学は運営の危機に瀕している。今年度の大学入学者はピーク時の1992年に比べ70万人減少した。既に3校が志願者不足により、閉鎖に追い込まれている。

カナダ:無実の解雇教授、訴訟を起こす
アカディア大学教授が、婦女暴行の嫌疑の為に解雇されたことに対し、大学を相手に訴訟を起こした。同教授はある女性に暴行を加えた疑いで取調べを受けたが、警察から無実を証明する手紙を受け取ったと主張しており、大学側の処分を不当であるとしている。

オーストラリア:カーネギーメロン大学、ようやく開校
カーネギーメロン大学アデレードキャンパスが、予定より大幅に遅れて開校となった。同校は立ち上げ資金として政府より2500万オーストラリアドルを受け取っている。また、全生徒に公的資金より22万7千オーストラリアドルが支給される。同大学への援助額はアデレードの他大学に比べ16倍も多い。アレクサンダー・ダウナー外務大臣が、今回のキャンパス開校の功労者である。

インド:「新入生いじめ」反対組織発足
インドの高等教育機関では、精神的嫌がらせや性的暴力を含む「新入生いじめ」が長く根付いており、最高裁も動き出している。デリー大学では、「新入生いじめ」を撲滅し、新入生を守る為の組織が発足した。

アメリカ:メディアを用いた新しいカンニング
学生達が、YouTubeに投稿したビデオ映像を用いてカンニングの方法を共有していることが判明した。こうした映像はカリフォルニア大学のリズ・ロッシュ教授のブログで紹介されている。同教授は、どのようにカンニングをするかではなく、どのように勉強するかを教えるビデオが作れないものかと、自身のブログに書き込んでいる。

インド:「手品学」の学位、出現
11月、カルカッタにて世界初の「手品の大学」が開校する。創立者はマジシャンのP.・C・ソーカー氏であり、心理学、舞台演劇、照明技術などの講座が開講される予定である。卒業生には「手品学修士」の学位が与えられる。

(要約:OFIAS インターン早野文菜)