学生との過度に正式な契約に要注意(THE 2008年4月24日号)

Academic lawyer cautions on use of overly formal student contracts

学生との契約を過度に公式にして法的に身動きができなくなるような状態は避け、大学は一定の柔軟性を維持すべきであるというアドバイスが出された。

イギリスでは現在9校の大学が学生契約を採用しており、他17校がその導入を考えている。

大学の運営における弁護士や法知識の重要性は否定できない。学生が訴訟を起こした場合や、論争を解決する際にはそういった契約が役にたつであろう。また、学生が自分達の知的財産権を主張した際大学としてのスタンスを示すのにも必要となってくる。

しかしながら、17歳や18歳の学生達は、契約を結ぶには若すぎるという問題点も指摘されている。

海外情勢(THE2008年4月24日号)

Overseas briefing

インド:積極的差別制度に支持
カースト制度が高等教育を受ける機会に与えている影響を減らそうという制度案が上院にかけられている。伝統的に職が制限されてきた「アンタッチャブル」の人々の状況に改善をもたらすこの積極的差別システムにより、インドの公立大学の定員の半分近くが低いカーストへ割り当てられる。一方、学問の質への悪影響や学生が成績に基づいて評価されないことに関し批判の声も上がっている。

米国:大学での発言の自由騒動
研究者に対し研究室のドアに貼られていた中絶やイスラムテロに関する漫画を外すよう命じたミシガン州のレーク・スーペリアー大学が非難を浴びている。「教育における個人の権利」基金によれば、他大学が寛容であったのはリベラルか左派的なものの掲示であったという。基金の代表は「公共の圧力へ従順であることによって起こる明確なダブルスタンダード」ではないかと述べている。

オーストラリア:高等教育を襲う雇用熱
資源ブームで雇用熱が高まり、非熟練職の賃金が上がった結果、大学が4,000人の定員割れを起こしている。大学関係者によれば、人口が増加している一方で大学へ入学する18歳人口が減っており、大学は需要を満たすために柔軟さを必要とする局面にあるという。

ガザ:イスラエルによる燃料カットで大学閉鎖
深刻な燃料不足により、地区内の主要大学4校が閉鎖された。AP通信社によれば、45,000人の学生が影響を受け、出席率が60%落ちたという。イスラエルからの燃料供給削減によるこの事態は交通費の高騰にも繋がり、住民のほとんどが一日2ドル未満で生き延びる現状の中、以前は1.7ドルの道のりが今では4ドルとなった。

米国:メールをめぐって教授が講義を中断
「大学での規律ある態度とは」という議論に火がついている。これは哲学の教授が、授業中にメールをやり取りする学生を見て講義をやめたのが発端である。黒人研究者として、民族的マイノリティの学生によるそのような行為に失望したというが、教室での学生行動の専門家は「モラルの観点から見て、集団的処罰というのはまずいのではないか」と言う。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)

文化を知って盗用問題に立ち向かう(THE 2008年4月24日号)

Cultural insight can help tackle plagiarism.

中国人留学生によくある盗用の問題に対応するには文化の違いを理解しなければならない。それまで生涯かけて学んできた学習方法を捨て、欧米で勉強することは中国人留学生にとってかなりの負担であると広東外語外貿大学の教授が述べた。

「個人による主張や知的財産権のない中国文化にとって盗用は未知の概念である。知識は一握りの特権階級のもので、誰が何を言ったか皆が知っており、その情報源についての疑問はもたれない」

「賢者」の発言を、参照提示せずに利用することは中国では普通のことである。欧米では二次的資料をサポートとして利用し、自分の意見を述べるかもしれないが、「中国では、新たな主張を行う者は個人主義者だとして罰せられることもありうる」のだ。

特定のグループのみを「危険だ」とするステレオタイプをリーズ大学のアドリアン・スレイター氏は批判している。

盗用問題を考えるにあたっては、自分の意見を再利用する「自己盗用」や、公有財産の利用、評価済みの課題のまた借りなどにも注意しなければならない。ネット上で資料に簡単にアクセスできるようになったこともあり、性悪説をもってして学生に対応しなければならなくなった。

(要訳:OFIASインターン 山下梨江)

つまづくエジプト大学との共同ベンチャー(THE2008年4月24日号)

Egyptian joint venture falters

英国・ラフバラー大学とエジプト・ブリティッシュ大学の関係が、学部生単位認定問題で揺れている。両大学はより広いパートナーシップを視野に入れた単位互換制度について昨年9月に合意したが、その3ヶ月後から様々な問題に直面している。ブリティッシュ大学側に、学生の管理・分析不足、学生の移動や再評価情報のシステマティックな収集・蓄積の不足、英国出身教員をフルタイムで雇用出来ないことによる学生への悪影響が見られ、更には図書館やIT設備にも問題があるという。

本来は博士課程の学生の指導をブリティッシュ大学と共同で行うことを視野に入れていたラフバラー大学だが、学生受け入れに足るインフラをブリティッシュ大学が持っているかどうかの査定が必要であり、今後もモニタリングと再評価を行うという。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)

英国教員連合のパレスチナ援助に非難の声(THE2008年4月17日号)

UCU under fire for Palestine donation

英国教員連合が2000ポンドをパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のビールゼイト大学へ寄付したことについて議論が巻き起こっている。この寄付に関して連合側は、連合のポール・ベネット国際部門長が持つビールゼイト大学との緊密な関係を活用して昨年度行われた共同プロジェクトに対する対価であると説明している。

一方でシェフィールド・ハッラム大学法学部教員のレズリー・クラフ氏によれば、これは「利害の争い」であるという。この寄付に反対して連合メンバーを降りた彼女は、教育・トレーニング目的に使われるべき慈善資金が住居や移動費に使われたことを暴露した。来月の連合年次総会においてイスラエルの大学の学術的ボイコットに関する議論を予定しているだけに、この対照的な動きは特に慎重に扱われるべき問題となっている。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)

海外情勢(THE2008年4月17日号)

Overseas news

カナダ:新しいEメールシステムにスパイの恐れ
米国を経由する新しいITシステムを導入すると米国の当局がEメールをチェックするのではないかとカナダのレークヘッド大学の職員が心配している。Googleに委託したシステムなので、個人情報をEメールで送らないように大学は職員や学生に注意を呼びかけている。

オーストラリア:短期契約の職員達
オーストラリア全国高等教育連合によるとオーストラリアの大学に勤務する研究者の約80%が短期契約だそうだ。現在1万人、中には30年以上そのステータスで研究を続けてきた研究者もいる。「元来研究者の多くは自分の研究に夢中で、労働環境について考えたりしないが、よりよい雇用条件を求める声はあがってきている」と連合のケン・マッカルパイン氏は指摘する。

米国:ひげの学生がFBIに…
大学のプロジェクトで養鶏場で写真をとっていたジョージア大学の学生とその指導教授がFBIののテロリズム合同特別捜査班尋問にあった。長く黒いあごひげのせいで過去にも中東系と間違われ、警察にとめられて質問にあったことがあるという。

インド:アフリカに教育資金
インド・アフリカサミットで、パン・アフリカ高等教育機関を設置し、アフリカの開発を推進するとインドのマンモハン・シン首相が宣言した。特に、科学、情報テクノロジー、職業教育分野に焦点をあてること、そしてインド国内のアフリカ人学生に対する奨学金を増やすことも約束した。この動きは中国のアフリカ政策に対抗するものだと見られている。

中国:多くの留学生が中国へ帰国
留学後、自国に戻る中国人留学生の数が増えている。中国教育省によると、2007年に留学をした約44,000人が中国へ戻ってきた。1978年から2007年の間に約120万人が留学し、約32万人がその同期間中に帰国している。現時点で、65万人の中国人学生が海外の大学に在籍している。

(要訳:OFIASインターン 山下梨江)

大学は社会人をターゲットに(THE2008年4月17日号)

Institutions urged to target adult workforce

高等教育は成人就業人口1000万人を引き入れるべきである、とする文書「仕事と高等教育」が高次スキル増進戦略と併せて英国政府から出された。大学に対し、雇用ビジネスで活躍し、ビジネス・高等教育間の人材を流動化させ、学生を仕事の世界へ誘導するよう求めている。

これに基づきイノベーション・大学・職業技能省も高等教育に関心を持つ就業人口に関する調査を行い、高等教育機関は従来の学生とは異なる層を取り込むべきであると報告している。政府は、「短期コースを強化することにより実践誘導型教育を設置、セクターを横断して社会人に働きかけるプログラムを準備し、それをセクター・スキル委員会(SSCs)SSCsが雇用者側へ売り込む」計画を約束しているという。また社会人の高次スキル・トレーニングの費用を雇用者の寄付で賄うこと、更には雇用側の内部トレーニングへ高等教育機関が参入することの認定も視野に入っており、この点に関しては高等教育財政審議(HEFCE)がSSCsのアドバイスを受けるよう求められている。

大学側は懸念を示している。シンクタンク「ミリオン・プラス」は、SSCsのような複合納入メカニズムは大学が雇用側とやり取りするにあたって頼りになりそうもないと言う。大学連合もまた、大学のコースにビジネスが多大な影響を及ぼすこと、対象本位の高等教育姿勢に反対を示している。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)

大学院への進学(THE 2008年4月10日号)

Wider access remit urged
 
家族に高等教育を受けた者がいない学生やローンに悩む学生の多くが、学士取得後大学院に進学しないことが高等教育学会の最近の調査でわかった。

大学院へ進学しない学生のうち、ローンの返済が問題と答えたのは13%であった。特にマイノリティの学生は、進学を強く望みつつも、借金をすることに不安を感じている。

理論構造のコースをとっている学生が大学院で勉強することが仕事先で役立つと考える一方、実践的な資格をとる学生は、更なる高等教育よりも職場経験のほうが役にたつと考えている。

勉強にストレスを感じる学生が増加する中、大学院に進むのは留学生が多く、国内の学生の進学率をあげるべきであると指摘されている。

「学部の最終年次で、進学するかどうかという難しい決断を行う学生をもっと支援しなければならない」とキングストン大学の副学長代理は述べている。

(要訳:OFIASインターン 山下 梨江)

教育品質保証監視機構、「落第生のデータ活用を」と訴える(THE2008年4月10日号)

Make better use of dropout data, quality watchdog urges

高等教育の質の監視を行っている品質保証局(QAA)が、落第した学生に関する統計をサポート体制改善のために採用する大学が少ないとするレポートを発表した。これは、今年の下院公共会計委員会において、8億ポンドが配分されているにも関わらず落第率が5年間変わっていないことが指摘されたことを受けている。

委員会では、サポートを必要とする学生の成績を追跡調査するために、落第率に関する情報を大学が活用することが重要であることが指摘された。またQAAの分析では、多くの大学が妥当な量の情報を集めてはいるものの「それをどうすればいいのか分かっていない」という。

一方でこのレポートは、幾つかの大学を模範例として取り上げている。例えば平均よりも落第率が高いものの年次レポートの発行で表彰を受けたボルトン大学では、学部を超えてデータ収集を一本化するシステムを開発した。これにより信頼に足るデータが集まり、分析段階で疑問点があれば教員が質問できるようになった結果、学生の進級や落第のパターンや相違点を知るとともに組織全体を見ることが可能になったという。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)

海外情勢(THE2008年4月10日号)

Overseas briefing

インド:もっと学生を受け止める力を
新設大学への投資の増加で海外の大学へ留学してしまうインド人学生たちの流れがとめられないか。インドの政府、産業、教育関係者は留学の増加による資金の海外流出を心配している。能力を伸ばせないとしてインドを離れる学生を引き止めるために「民間からの援助が必要不可欠である」と教育省は述べている。

米国:成績提出の遅れに罰金
フロリダ州立大学では、生徒の成績提出が遅れた教員に対して毎回10ドル(約千円)の罰金を科している。毎回10-15%の成績提出の遅れに悩まされていた同校は、現在、米国で唯一罰金を科している大学である。

中国:学生へご飯を配給
台湾から近い沿岸地域にある厦門大学では、高い生活費に苦しんでいる学生たちに大学からお米が支給される。消費者物価指数の高い中国の都市で生活費が上がるに伴い、授業料はすえおきで、低所得の家庭から来ている学生を援助するためにご飯配給政策を導入したそうだ。

オーストラリア:開かれた奨学金
オーストラリアが、最高14万豪ドル(約1300万円)のフェローシップを与えることで中堅研究者を引き付けようとしている。産業科学研究省のキム・カー氏は「自国の研究者を保護しながら、ビジネスを国際的に競争力のあるものにすることはできない。私達の目標は世界最高の研究者を引き付け、私達にかかわる問題のために働いてもらうことである」と述べた。

米国:ネイティブアメリカンによる訴訟
ノースダコタ大学女学生クラブの学生達が「カウボーイとインディアン」というテーマのもとインディアンの服を着た写真をオンラインで投稿したことに対して、ネイティブアメリカンの学生グループが大学に訴訟を起こした。彼女たちは謹慎処分を受け、またこの訴訟に駆られ「ファイティング・スー族(米国先住民の主要種族の一つ)」と名のついた大学競技チームに対しても、反対運動が起こっている。

日本:少子化で大学が経営破綻に
広島にある立志館大学が、戦後日本で初めての大学経営破綻で閉鎖された。日本の18歳人口は1992年の205万人から2008年には130万人にまで減少している。「大学は授業料をカットし、設備を改善し、学生を引き寄せなければならない」と同大学の管理者は指摘している。

ばらまき型研究資金が米国で増加(THE2008年4月3日号)

'Pork-barrel' cash on the rise in US

米国ではピアレビューなしに配分される助成金による研究プロジェクトが、立法側の削減公言にも関わらず16億ドルにまで記録的に増加し、物議を醸している。この研究資金はアメリカ連邦議会議員によって議員の選挙区へ分配されているうちの3分の2を占め、全米の研究資金総額の5%にあたる。また、政治的に繊細な研究分野、例えばイラク戦争関連では脊髄損傷に関する医療研究、石油価格上昇関連ではバイオ燃料研究などへの集中が見られるという。

1998年から2003年にかけて急激に増加していたピア・レビューつきの競争的資金はここ5年間で減少しており、議員による分配が、資金調達競争を限定することで研究を弱体化させ、米国経済にも影響が拡大するとして批判が起こっている。しかし現実では、大学側の要望に合わせて今後7年間に自然科学・物理学への融資を倍額にする「競争するアメリカ」法が連邦議会に承認されたものの、最終予算案では融資額が4分の1以上も削られている。また大学側も、資金困窮の際地元議員に配分を依頼する体質から抜けきれていないという。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)

世界の学者たちがトップ学術誌を支持(THE 2008年4月3日号)

International scholars agree on standing of top journals

オクスフォード大学政治学部のマクリーン教授は、研究評価(Research Assessment Exercise, RAE)においては政治学学術誌ランキングが参照されるべきであると主張している。

それに対して、英国高等教育財政カウンシル(Hefce)は学術誌ランキングを使うことをRAE部会に禁止し、かわりに査読によって研究評価を行うようにとした。学術誌ランキングの問題点として、主要3カ国に特化しすぎていることなどをあげている。

マクリーン教授は「批判もあるが、国際的な学術誌のランキングは安定した統一見解を見せている」と述べ、また、よくある同姓による混同や、お粗末にもかかわらず引用される研究があることによる影響も避けられるとして、査読よりも優れていると指摘した。

(要訳:OFIASインターン 山下梨江)

アウトソーシングの落とし穴を警告される大学(THE2008年4月3日号)

Universities warned about the pitfalls of outsourcing

今週行われた、今後10年間の大学の課題に関する会議において、高等教育コンサルタントのローズマリー・スタンプ氏は「変化に自ら対応することなくサービスを外注する大学は教員採用や大学の評判、学生の教育への関与力を失う」と指摘した。「大学がギブアップしてしまったコントロールと、大学運営がテクノロジーから遅れを取っているために取れなかったコントロール」の両方が問題であると言う。

前者に関しては、コースのモジュール提供など、学生の教育に大きなインパクトを持つサービスを民間へ委託していることが一つの例である。大学よりも機敏に学生のニーズを掴む外部によるサービスは学生から高評価を受けており、「高等教育における経験が大学のコントロールを超えていく」という。後者に関して言えば、大学の評判についての情報探しに先ずウェブを使ういわゆる「グーグル世代」への対応という課題である。

セミナーでは教員の雇用や確保の問題も言及され、スタンプ氏によれば「これは今後10年間の最も大きな課題の一つであり、全ての研究機関が直面している。グローバルな教員の採用が困難になり、戦略的目標を達成するため多くの大学が他セクターから人材をスカウトしようとしている」という。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)

海外情勢(THE2008年4月3日号)

Overseas briefing

米国:機関によって異なるジェンダーギャップ
米国高等教育機関における男女間の所得格差は、教える科目ではなく、所属する機関のタイプによって異なることが調査によってわかった。472の機関の8千人の研究者を調べたところ、研究基金を欠いている公立大学や修士レベルまでしかない大学に女性研究者が集中している。

しかしながら、それを除いても、研究者の男女間で4.2%の不明な給与の差がある。

オーストラリア:認証評価不合格のコース
ウロンゴン大学での4年間の幼児教育コースの評価結果を受け、3つの他大学が、自分達の12ヶ月学位コースを再編成すると公表した。オーストラリアの新聞によると、小学校で教えるには卒業生の能力が不十分であるとして、ニュー・サウス・ウェールズ教育機関がウロンゴン大学のコース認定を拒否している。

中国:教育の値打ち
10人に4人の中国人が教育への投資とその見返りの間に大きなギャップがあると思っている。都市と農村地域に住む16歳から60歳までの市民3,355人に調査を行ったところ、見返りがよいと答えたのはたった16%であり、大学卒業者達は最も批判的であった。

「『教科書のメリット』は労働市場においてなんの役にも立っていない。経営修士コースのために3000人民元(約4~5万円)払ってくれた両親に申し訳ない。」とある青年は嘆いた。「近年の経済発展のペースに雇用市場における求職がおいついていない」と北京師範大学の経営学教授は指摘している。

オーストラリアと米国:解けた化石の秘密
オーストラリアと米国の古生物学者たちが5億5千万年ものミステリーを解明した。南オーストラリアのフリンダースレンジスで発見され、化石化した糞だと思われていたチューブのような化石が、実は海の生物であったことがわかった。

インド:化学分野での詐欺行為、波紋広がる
化学分野における最も深刻な学術盗用の波紋がインド全土の大学に広がっている。70以上もの学術論文で盗用やまたは不正行為をしたとしてシュリ・ベンカッテシュワラ大学(SUV)の化学教授であったチランジーヴィ教授が有罪となった。

そして今、疑惑のある論文を共著したベテラン教授に注目が集まっている。SUV大学副学長は徹底的に調査することを誓い、著名なインド人化学者ガバダーン・メータ氏はデータを審査せずに論文に名前を載せる学者達を批判している。

(要訳:OFIASインターン 山下梨江)

無利子学生ローンで得をするのは金持ち (THE 2008年3月27日号)

Top earners gain from student loan ‘subsidy’ as low-paid struggle

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の公共経済学教授ニコラス・バーは、「中流階級向け補助金」である無利子学生ローンを廃止し、現在3,000ポンド(約60万円)となっている授業料上限を引き上げるべきであると主張している。

「授業料の上限設定はあるべきである。但し、あるレベルにまで引き上げてそこで固定することが重要だ。要はバランス感覚である。授業料の上限をなくしたり、または高くしすぎたりすると、米国のように際限のない授業料設定をする大学が出て、非効率・不公平につながる。問題は、ローンの利子補助金で利益を得ているのが貧しい学生ではなく、金融セクター勤務の金持ちたちであるということだ。ターゲットを変え、教師、看護師、医師などの公共サービスに従事するものたちのローンを帳消しにすべきと私は主張したい」

しかしこれに対する意見として、授業料上限を引き上げあげることによる政府補助金の削減、学生の視点で大学を見ることで教員や機関との関係に変化が生じうる、等々問題点を指摘するものたちもいる。

(要訳:OFIASインターン 山下梨江)

英国へのインド人留学生、24%増加(THE 2008年3月27日号)

UK sees 24% rise in Indian students

英国におけるインド人留学生の数が2006-07年度比で24%増加しており、英国大学協会長リック・トレイナー氏が傾向を歓迎している。そのほかナイジェリアやパキスタン、またEU内ではポーランドからの留学生の数が顕著に増えている。

その一方留学生が英国で勉強することを支援する政府奨学金の削減問題が指摘されている。「何の話し合いもなしに支援金を削減する政府に、大学側はもううんざりしている。国際情勢が不安定な今、最悪の場合、英国が留学生に敵対的であると思われるかもしれない」と「影の高等教育大臣」であるロブ・ウィルソン氏は述べている。

(要訳:OFIASインターン 山下梨江)