学生、卒業後の投資に期待(THE 2008年9月4日号)

Students happy to invest in future





学生側の経済状況は厳しいが、多くの学生は学位取得によって、将来的に安定した投資が可能になると考えている。



2000人以上の全日制学生を対象とした大学生活調査(THE9月11日号に詳細掲載予定)によれば、卒業までに1万ポンド以上の借金を抱えることが予想される学生は63%で、2006年度の 39%という予測より大幅に増加している。更に1万5千ポンド以上は41%、2万ポンド以上は18%と、いずれの割合も2006年度調査に比べて増えている。しかし一方で、64%の学生が将来的な投資によってこの借金を返済できると考えている。これは、政府が来年度の学費水準見直しを考えていることによる。こうした楽観的見通しは学生の専攻分野によって異なる。先行きの不安を感じる学生は芸術や人文学系統に多く、薬学系統専攻では少ない。



金銭面に次いで大きな学生の不安は、仕事と学業、そして社会貢献の両立である。全国学生連合(NUS)は、バークベック大学クレア・カレンダー教授の意見を引いて、現行の補助金制度はむしろ学業に逆効果であると述べている。



ラッセルグループで与えられる奨学金は1791ポンドで、77%が学生の経済状況を支給基準としている。一方でミリオン・プラスにおいてはそれぞれ680ポンド、45%である。ミリオン・プラス事務総長のパム・タットロー氏は、現在の制度における不均衡を正すため、総体的な援助の見直しが必要であると述べている。



NUSの調査によれば、政府が授業料の上昇に歯止めをかけなければ、学生の借金は卒業によるメリットを超えると予測されている。そうなれば財政状況によって教育機関間の差も広がり、講師陣は生徒の要求に応えるため、更なる重圧に耐えねばならなくなる。そして学生は今以上に働かなければならなくなるだろうと考えられる。





(要約:OFIASインターン 早野文菜)

海外動向(THE 2008年8月21日号)

oversea briefing





アメリカ:懲戒処分の講師、職場復帰
自身の開講する講座に履修登録したために解雇された大学講師、ヘンリー・ダグラス氏が、裁定人の判断により復職する。同氏はアラバマのビショップ・ステート・コミュニティ・カレッジ講師であり、資格基準を満たす為、大学役員より講座の登録を勧められたと主張している。今回の裁定人であるジェームズ・オドム氏は、懲戒が妥当であり、それ以上の処罰は不当であると判断した。



韓国:大学全入時代の到来
高等教育の場の拡大により、大学受験生総数に対し、定員数が大幅に増加している。この為、受験生はたとえ入学試験で0点をとったとしても合格することが可能となった。政府による大学設置基準緩和と高等学校の大学化が行われて以来、韓国の大学数は大幅に増加している。



オーストラリア:中国人留学生、高まる犯罪率に警戒
オーストラリア各都市の高い犯罪率は、アジアからの留学生流入の妨げとなっている。在シドニー中国領事館は、オーストラリアに留学生の保護をより強く訴えている。ニューサウスウェールズ州は、18万人を超える留学生を受け入れているが、中国人留学生が最も多くの割合を占めている。



ヨーロッパ:ヨーロッパ大陸の教育の質、保証される
高等教育質保障機構が、欧州質保障登録簿(EQAR)の登録申請に向かっている。この登録簿は欧州高等教育の調和を目指すボローニャ・プロセスの指標とされている。登録が承認されれば質保障機構は個々に報告書を提出することが義務付けられる。EQAR理事会会長のレスリー・ウィルソン氏は、登録簿は欧州の学生と職員に、教育機関と学位取得プログラムの信頼性を示すと述べている。



インド:教育機関、危機的状況に陥る
60年の歴史を誇るガウハチ大学は、2006年に発覚した財政上の不正行為と大学副総長の解任のため、苦境に立たされている。後任である、著名な物理学者アマリヨティ・チョウドハリー氏も政府を批判したために、二年足らずで辞任した。インド・エキスプレス紙は、ガウハチ大学は深刻な財政危機に苦しんでいると報道した。



アメリカ:全裸写真で退部処分
ネブラスカ大学学生ポール・ドナホーとケニー・ジョーダンは、同性愛者向けアダルトサイト、Fratmetv.comに全裸写真を公開したとして、同大学レスリング部を退部処分となった。同サイトの管理者は、学生達への謝礼は充分に支払われており、昨今の学生スポーツ選手であれば、猥褻事件の汚名を長く引きずることもないと述べている。





(要約:OFIASインターン 早野文菜)