資格過剰な博士号取得教育者(THES 2007年12月14日号)

Lecturers with PhDs "overqualified" for job

多くの大学教員が教育に専念しており、研究での貢献が年々減っていることが、英国高等教育学会 (Society for Research into Higher Education、RAE)の調査でわかった。

RHEによると、教育を専門とする大学教員ポストは過去10年間で12,000から40,000に増えたが、講義と研究の両方を担当するポストは1995-96年の66%から2001-2年では58%に減少している。博士号取得者が増え、研究面の実績なしでは大学で教えることが狭き門となっている。

かつては研究専門者が多かったため修士号で教鞭をとることができたうえ、研究よりもむしろ教えるほうが重要視されていた。しかし、教鞭をとるにあたって博士号が必須の今日、博士課程の学生は研究よりも論文の投稿・出版に追われ、思うように研究をしにくい環境にある。採用後もその多くが教育専門職におちついている。

英国放送大学高等教育研究・情報センター副所長のウィリアム・ロック氏は、高等教育機関において研究と教育が政策的に切り離されていて、これら二つの活動を統合することが学生と学生のキャリアにとっては望ましいと述べている。また、ロンドン大学のロン・バーネット教授は、書物を出版するのに必ずしも新たな実験や研究は必要なく、教育専門の教員は図書館で考え執筆する時間さえあれば充分に価値のある研究成果を生み出せると指摘する。

(要訳:OFIASインターン 西村 李歩)