海外情勢(THE2008年3月6日号)

Overseas Briefing

インド:eラーニングの可能性広がる
インドでは、高等教育を受けられずにいる人々がeラーニングを歓迎している。「eラーニングへの期待は非常に大きく、地理的障壁が消え、より広範な教育への選択肢がひらかれている」マドラス大学副学長S・ラマチャンドランが、生涯学習に関するセミナーで述べた。

オーストラリア:大学の資金問題 
財政状態の苦しい大学が、教育研究に当てられるべき資金のうち80%を、それ以外の目的に使っているとオーストラリアの新聞が伝えた。「大学にとっては、国家的優先課題が二の次となるのだ」とメルボルン大学のH・ルービンシュタイン教授が述べている。

米国:スタンフォード大学、中流家庭を応援
スタンフォード大学が中産階級の学生を対象とした奨学金プログラムを提案した。年収10万ドル(約1千万円)以下の家庭出身の学生は授業料を免除され、年収6万ドル(約600万円)以下であれば寮費も免除される。スタンフォード大学の来期の授業料は3万6千ドル(約360万円)で、寮費には約1万2千ドル(120万円)かかるとみられている。似たような動きはハーバード大学とイェール大学でもみられている。

カナダ:専門誌による政府批判
カナダの大学の科学者たちが危機に直面している。科学者たちは国内でなかなか評価されず、2006年にスティーブン・ハーパー率いる保守派が政権を握って以来それがさらに顕著となったとネイチャー紙が伝えた。同紙は、科学者は研究資金を求める動きを起こすべきだと主張し、また国立科学アドバイザーのオフィスの閉鎖を批判している。

香港:学生の将来を探る調査
学業成績が学生の将来の可能性にどのような影響を与えるのか、15歳から25歳まで8千人を対象に香港中文大学が調査を行う。「科学技術分野により就職機会があることから、金融関係にキャリアを合わせていると選択肢が限られてしまう」とプロジェクトリーダーは述べている。

米国:最高値入札者に履修のチャンス
米国の大学が定員オーバーの授業の履修者を選考するために、新たな方法を導入している。高等教育クロニクルによると、たとえばスタンフォード・語学センターでワイン試飲のクラスを持つパトリシア・デ・カストリーズは、登録のために彼女の研究室の外で眠るように生徒を奨励し、また、ペンシルバニア大学のウォートン・スクールでは、オークションを利用して履修者の選考を行う。

(要訳:OFIASインターン 山下 梨江)