海外情勢(THE 2008年1月31日号)

Overseas briefing

中国:大学院入学者の減少
国立大学院入試受験者数がここ10年で初めて減少に転じた。報道によれば、これは学歴より実力が重視されるようになり、修士・博士号取得者の雇用機会が減少していることに起因するという。同時に修学のため国外へ出る学生の数は20万人に達することが予測されている。

インド:新しい教育の考え方を要求する報告書 
国立知識協会のサム・ピトロダ会長はインド首相宛「国への報告書」を提出するにあたり、「インドの教育に関する新しい考えへの『抵抗』が存在する」と発言した。発言の中で会長は、硬直した組織体系や縦割り的な思考を持つ政府内に様々なレベルでの抵抗が存在しており、教育セクターにおける協調的アプローチが必要としている。

米国:留学業者が調査対象に
海外大学への留学プログラムに関し、大学職員の誰が留学契約を承認するのか、プログラムはどう選択されるのか、送り出し大学側は留学業者から何らかの報酬を受け取るのか、の調査の対象大学が広まっている。これは昨年の業者から大学へのリベート提供などから起こった懸念である。これまでのところ留学業者に関する規制は無い。

オーストラリア:フリンダーズ大副学長、高い学費を非難
フリンダーズ大学の新副学長マイケル・バーバー博士によれば、オーストラリアの大学生はカリフォルニア州の大学生よりも教育の経済的障壁に直面しているという。「大学の資金ニーズの重要性を認識しない限り政府の新しい教育改革は上手く行かないだろう」と博士はコメントしている。

カナダ:議論にさらされる私立医学大学院
カナダの医者不足問題を解決するのは私学セクターによる医学教育である、とカナダ医学協会のブライアン・デイ会長が発言した。医者不足によって起こっている経済的損失を補うには、納税者に頼ることなく学生自身の払う学費でまかなうことが出来る私学、特に米国の大学のカナダ分校であるという。一方で「私立は多額の学費を必要とするので、学生が借金に追い込まれ、中・低所得者層の学生はアクセス出来ない」という批判も起こっている。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)