海外情勢(THE 2008年1月24日号)

Overseas briefing

米国:ペースの追いつかない研究投資
政府の科学分野研究への投資の増加率が物価上昇率よりも低いことが報じられ、同分野におけるアメリカの優位性が失われることが危惧されている。一方で博士号取得者への連邦投資は1980年から2006年まで変わらず安定しているとする調査結果も報告されている。

カナダ:学士が雇用増加を促進
学位段階まで高等教育を受けた人々がカナダ・アメリカ労働市場回復のカギである、とする研究報告が出された。1980年と2000年の調査によれば、科学技術セクターでの学士採用は、関連した分野の学位でなくとも都市部で高まっているが、一方で学士の数が少ない都市では労働市場の成長が低いとする報告も出されている。

オーストラリア:研究者の自由な発言を認める憲章
研究機関がメディアにコメントを公表する前に政府の許可を必要としていたことを受け、研究者が研究分野に関連した論争に参加する権利を与える憲章の作成が決定された。キム・カール産業科学研究相は、この憲章が議論に参加する権利と義務を研究者に与える効果を認めつつも、政策の「明確化、策定、推進」に政府は責任があるのだということを各機関は理解すべきだとしている。

米国:エール大学、生徒への援助拡大
エール大学は、今秋から経済支援対象を拡大し、年収が20万ドル以下の家庭出身の学生にも援助を行うことを決定した。この方針により、援助を受ける学生たちが払う授業料の平均は通常の50%となるという。ハーバード大学もまた、年収12~18万ドルの家庭出身の学生に対し各年収の10%程度となるよう学費を免除する方針を昨年打ち出している。

ベトナム:教育路線への投資増強
ベトナム政府が、高等教育増進に2010年までに13億ドルを投資する新しい教育プログラムを発表した。高等教育を受ける学生の数を現在の一万人中181人から、2010年までに200人、2015年までに300人、2020年までに450人まで増やすことを目標としている。

中国:研究者のための特許
公的支援を受けた研究から中国の科学者、研究所および大学が自分名義の特許を所持することが可能になった。これは改革促進を目指す運動の一環であり、研究者や大学に対してインセンティブを提示することを狙いにしていると考えられる。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)