ばらまき型研究資金が米国で増加(THE2008年4月3日号)

'Pork-barrel' cash on the rise in US

米国ではピアレビューなしに配分される助成金による研究プロジェクトが、立法側の削減公言にも関わらず16億ドルにまで記録的に増加し、物議を醸している。この研究資金はアメリカ連邦議会議員によって議員の選挙区へ分配されているうちの3分の2を占め、全米の研究資金総額の5%にあたる。また、政治的に繊細な研究分野、例えばイラク戦争関連では脊髄損傷に関する医療研究、石油価格上昇関連ではバイオ燃料研究などへの集中が見られるという。

1998年から2003年にかけて急激に増加していたピア・レビューつきの競争的資金はここ5年間で減少しており、議員による分配が、資金調達競争を限定することで研究を弱体化させ、米国経済にも影響が拡大するとして批判が起こっている。しかし現実では、大学側の要望に合わせて今後7年間に自然科学・物理学への融資を倍額にする「競争するアメリカ」法が連邦議会に承認されたものの、最終予算案では融資額が4分の1以上も削られている。また大学側も、資金困窮の際地元議員に配分を依頼する体質から抜けきれていないという。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)