海外情勢(THE2008年4月24日号)

Overseas briefing

インド:積極的差別制度に支持
カースト制度が高等教育を受ける機会に与えている影響を減らそうという制度案が上院にかけられている。伝統的に職が制限されてきた「アンタッチャブル」の人々の状況に改善をもたらすこの積極的差別システムにより、インドの公立大学の定員の半分近くが低いカーストへ割り当てられる。一方、学問の質への悪影響や学生が成績に基づいて評価されないことに関し批判の声も上がっている。

米国:大学での発言の自由騒動
研究者に対し研究室のドアに貼られていた中絶やイスラムテロに関する漫画を外すよう命じたミシガン州のレーク・スーペリアー大学が非難を浴びている。「教育における個人の権利」基金によれば、他大学が寛容であったのはリベラルか左派的なものの掲示であったという。基金の代表は「公共の圧力へ従順であることによって起こる明確なダブルスタンダード」ではないかと述べている。

オーストラリア:高等教育を襲う雇用熱
資源ブームで雇用熱が高まり、非熟練職の賃金が上がった結果、大学が4,000人の定員割れを起こしている。大学関係者によれば、人口が増加している一方で大学へ入学する18歳人口が減っており、大学は需要を満たすために柔軟さを必要とする局面にあるという。

ガザ:イスラエルによる燃料カットで大学閉鎖
深刻な燃料不足により、地区内の主要大学4校が閉鎖された。AP通信社によれば、45,000人の学生が影響を受け、出席率が60%落ちたという。イスラエルからの燃料供給削減によるこの事態は交通費の高騰にも繋がり、住民のほとんどが一日2ドル未満で生き延びる現状の中、以前は1.7ドルの道のりが今では4ドルとなった。

米国:メールをめぐって教授が講義を中断
「大学での規律ある態度とは」という議論に火がついている。これは哲学の教授が、授業中にメールをやり取りする学生を見て講義をやめたのが発端である。黒人研究者として、民族的マイノリティの学生によるそのような行為に失望したというが、教室での学生行動の専門家は「モラルの観点から見て、集団的処罰というのはまずいのではないか」と言う。

(要訳:OFIASインターン 並木 麻衣)