翼を広げる元ポリテクニック(THES 2007年8月31日号)

Former polytechnics spread their wings

ジョン・メイヤーによって、ポリテクニック(実用的コースを備えた英国の総合高等教育機関)が、「新型大学」になってから15年が経過した。英国の高等教育に起きた最高のことであるとも最悪のことであるとも言われている。エリートのバリアをなくすことに重点をおいたこの変化は、左翼のシンクタンクによって考えられたと思いきや、保守的な政府によって主導されたものだった。

ポリテクニックの校長の中には大学という名称を掲げることに反対していた人々もいたが、多くの校長はそれに賛成していた。また当時のキャンペーンのスローガンとして、「名前は変わったが中身は変わらない」という言葉が用いられた。しかし、ほとんどのポリテクニックは、これを機会に従来の大学のように、研究に重きを置く方向に動いた。ポリテクニック校長連合会の元理事長ロジャー・ブラウン氏は、「これを象徴しているのが、ほとんどのポリテクニックの校長が英国大学連合への入会を急いだという事実だ。私たちが全く新しいセクターを創出しようとしているということを認識するためにも、全く別の教育機関を作った方が良かった。」と述べているが、「新しい大学を作ったことにより多様性の増加の面で成功した。」とも付け加えた。

新しい大学では、学生数が急激に増加しているが、教員に対する学生数増加の側面もある。デモントフォート大学(元ポリテクニック)のネイル・ウィリアムソン氏は、学生数増加によるスタッフの労働負担は大きく、古い大学よりも経営上のアプローチに力を入れる傾向がある、と述べている。しかし、そのアプローチによって、新しい大学が政府の方針や高等教育市場の急速な変化に対応できているのだとする人々もいる。また、ニューマン高等教育カレッジの校長は、新しい大学はさらに細分化していくだろうとしている。

教育協会の高等教育学のロン・バーネット教授は、新しい大学は、あれこれなりふり構わずの状態で、得られるものを得るために方向が定まらないまま進んでいる、と述べた。

(要約:OFIASインターン 藁科智恵)