大学はまだ別世界:マイノリティ学生の現状(THES 2007年8月31日号)

For some, campus is still another country

民族的少数派であるアジア人学生は、白人学生に比べて取得学位レベルが低いだけでなく、大学に対する満足度も低い実態が、2005年度と2006年度の全国学生調査を分析した英国高等教育資金評議会(Higher Education Funding Council for England)により明らかにされた。HEFCEは、民族的少数派の学生の不満と彼らへのサポート不足を改善させる必要があるとしている。

この問題の背景には、こうした学生がよく抱える貧困だけでなく、民族差別もあるとされる。人種的平等委員会(Commission for Racial Equality)関係者は、OB会が保守的であり、マイノリティのスタッフがいくらもいない大学があると述べている。黒人学生にも厳しい状態で、黒人学生より黒人の清掃スタッフの方が多い大学がいくらもあるという。

全国学生連合(National Union of Student)の担当者によれば、多くのアジア人学生は貧しく、親元から通学せざるを得ない。また、学業と仕事を並行させているため大学生活を満喫することができない。さらに、周囲に同じアジア人学生が少ないため、孤立感とサポートへの不安を抱えている。それらのことが不満の下敷きになっているという。

民族的少数派の学生へのこうした調査は始まったばかりで不明点も多く、今後も調査とサポートが必要とされる。

(要約:OFIASインターン 長谷川 涼子)