英国大学、世界大学ランキングにおいて転落(THE2008年10月9日号)

Fears four UK strength as its institutions slip down top 200







2008年度のTHE-QS世界大学ランキングによれば、アメリカの大学がトップの座を確固たるものとしているのに対し、イギリスの大学は地位転落の傾向にある。



ハーバード大学が5年連続で1位を獲得する一方、イギリスの名門であるケンブリッジ大学は3位に転落、オックスフォード大学は前年度の2位から4位へと落ち込んだ。上位100大学の内、イギリスの大学からは17校が選ばれているが、これは前年度より2校少なく、世界大学ランキング200全体においても、イギリスはその地位を落としつつある。



この結果は、イギリスでの研究教育資金額の問題を浮き彫りにしている。イギリスが高等教育に充てる予算の割合は、OECD諸国の平均を下回っており、アメリカの半分にも満たない。イギリスの研究型大学19校から成る、ラッセルグループ事務局長パイアット氏は、イギリスの大学の競争力への懸念を表明している。同氏は、中国やインド、ドイツ、フランス、中東やオーストラリアなどとの競争が激化している点を指摘し、資金不足のままでは競争に勝ち抜くことは難しいと述べている。



学生の授業料負担増も検討されているが、イギリスの大学も、今後はアメリカの大学のように、寄付金によって競争力を高める方向性にあると、ロンドン大学のグラント教授は述べている。


公共政策と高等教育を専門とする、テネシー州バンダビルト大学ロス助教授は、アメリカの大学教育は市場主導型であるために競争力が高いと述べる一方で、教育費の高さと格差の存在という欠点を指摘している。ロス教授によれば、進行中の経済不況や金融引き締め政策が、状況の変化に繋がる可能性は大きいという。



世界大学ランキングでは、アメリカとイギリスの大学が伝統的に上位を占める中、オーストラリア国立大学が16位、チューリッヒ工科大学が18位に食い込んだ。その他、南アフリカのケープタウン大学(179位)、ブラジルのサンパウロ大学(196位)と健闘する大学も現れている。









(要約:OFIASインターン 早野文菜)